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テニスの弱点を克服しようとして、強みまで失った話

弱点を克服しようとして強みまで失った話

苦手なショットがあると、そこを直したくなります。

当たり前の感覚だと思います。私もそうです。

ただ、この記事でお伝えしたいのは、その逆です。

弱点の克服に全部を注いだ結果、強みまで失った人の話を書きます。弊社の代表(小畠)の実話です。

五十嵐(編集)

入社して最初に聞かされた話が、これでした

強みがあったのに、そこを捨ててしまった

代表は高校から本格的にテニスを始めて、バックハンドを武器にしていました。

その一方で、フォアハンドには課題がありました。そして当時のコーチの方針に従い、弱点の克服に全部のエネルギーを注ぎます。

結果はこうでした。

本来のスタイルを失い、格下にも勝てなくなり、最後は肩を壊して選手生命が終わりました。

サボったわけでも、やる気がなかったわけでもありません。言われた通り、真面目にやった結果です。

なぜこうなったのでしょうか

ここが大事なところです。

もし「センスが無かった」のだとしたら、バックハンドも打てていないはずですよね。実際には武器がありました。

失ったのは、武器を磨く時間のほうです。

限られた練習時間のなかで弱点に全部を注げば、強みに使える時間はその分だけ消えます。引き算になっていることに、本人は気づいていませんでした。

本当の原因は、目的の解像度でした

さらに手前を見ると、原因は練習の中身ですらありませんでした。

目的が「強くなりたい」しか無かったことです。

なぜこれが問題なのかというと、曖昧な目的からは曖昧な戦略しか出てこないからです。

「強くなりたい」からは、「相手と同じ土俵で戦えるようにしよう」という戦略が出てきます。つまり、平均点を上げる方向ですね。

目的が決まると、捨てるものが決まります

たとえば、目的がこうだったとしましょう。

  • 「半年後の市民大会で1回戦を突破したい」
  • 「週末に夫婦でダブルスをやるので、サーブで迷惑をかけない程度にしたい」

2つ目の方に、バックハンドのトップスピンは要りません。必要なのは、入るサーブです。

目的が下りてくると、やらないことが勝手に決まります。 この順番の話はテニスが上達しない原因は練習の順番でしたにまとめました。

五十嵐(編集)

「増やす」じゃなくて「減る」のが意外でした

レッスンで「今日はバックハンドを見ません」と言うことがあります

弊社のレッスンでは、コーチがこう言う場面があります。

乱暴に聞こえるかもしれませんが、目的から逆算した結果そうなっているだけです。

この「絞って、残りを捨てる」という判断を手順にしたものが、テニスポットのFACTメソッドの F(Focus)にあたります。

現場でも同じことが起きています

テニスポット調べ(2026年10月)では、継続して通われている3名・56レッスン分の記録のうち、24回でバックハンドが課題に挙がっていました。

また、レッスンカルテ約80回分を課題の出てくる順に並べると、1位がバックハンドです。

ここで考えてみてください。これは全員にとって、本当に1位でしょうか。

バックハンドは「当たらないのが分かりやすい」ショットです。だから真っ先に自覚されます。つまり効く順ではなく、目立つ順に並んでいる可能性があります。

切り分け方はバックハンドで下から上に振ってしまう人に起きていることに書きました。

「弱点は放置していい」という話ではありません

ここは誤解されたくないところなので、はっきり書きますね。

目的から逆算した結果、弱点の強化が必要なら、当然やります。

試合で明らかにそこを狙われていて、それが負ける直接の原因になっているなら、直すのが正解です。

問題なのは順番のほうです。「苦手だから直す」という理由だけで始めると、代表と同じ道になります。

判断
⭕ 目的 → 戦略 → そのうえで弱点が必要なら直す正しい順番
❌ 苦手だから直す目的を飛ばしている

うまくいかないこともあります

正直に書いておきます。

「捨てる」判断は、1人だとかなり難しいです。

捨てた結果どうなるかが見えないので、腰が引けます。私も自分の練習では、結局いつも全部やろうとしてしまいます。

それから、捨てる判断が正しかったかどうかを、弊社は数字で追えていません。 レッスンの記録は残っていますが、その方の試合の結果までは追跡できていないためです。

言えるのは「目的から逆算すると、やることは減る」というところまでです。

よくある質問

Q. 苦手を放置すると、試合でそこを狙われませんか

狙われます。ただ、狙われて負けているのかどうかは、一度確かめてみてください。「バックを狙われた」と「バックで失点した」は別の話です。

Q. 全部そこそこ打てるようになりたいのですが

それも目的のひとつなので、まったく問題ありません。その場合は、どのショットも均等に時間を割くのが正しくなります。何を目指すかで、正解が変わるだけです。

Q. 初心者でも「捨てる」べきですか

最初のうちは、むしろ全部やったほうがいいと思います。捨てる判断が効いてくるのは、ある程度打てるようになって、時間の配分が問題になってからです。

Q. コーチに「捨てたい」と言っていいのですか

言っていいと思います。「試合で勝ちたいので、いまはサーブに絞りたいです」のように、目的とセットで伝えると話が早いです。


苦手なショットを直したくなるのは、自然なことです。

ただ、そこに全部を注ぐ前に、ひとつだけ確かめてほしいことがあります。

そのショット、あなたの目的にとって本当に今やるべきことでしょうか。

試合で勝ちたいのか、ラリーを続けたいのか、仲間に追いつきたいのか。目的が言葉になると、やることは増えるのではなく減ります。

言葉にするのが難しければ、LINEで送ってください。「なんとなく上手くなりたい」からで大丈夫です。一緒に解像度を上げていきましょう!

ではでは!