週1でスクールに通って、自主練もして、動画も見ている。
なのに、半年前と打っている球が変わらない。
テニスポットに相談に来られる方で、いちばん多いのがこのパターンです。練習量が足りていない方は、ほとんどいません。みなさん、むしろやりすぎなくらいやっています。
じゃあ何が足りないのか。
順番です。
五十嵐(編集)
自分も完全にこれでした。。
弊社の代表は、正しく努力して選手生命を絶たれています
いきなり重い話で恐縮なのですが、この記事はここから始めないと意味がないので書きます。
弊社の代表(小畠)は高校から本格的にテニスを始めて、バックハンドを武器にしていました。その一方で、フォアハンドには課題があったそうです。
当時のコーチの方針に従って、弱点の克服に全部のエネルギーを注ぎました。
結果どうなったか。
本来のスタイルを失い、格下にも勝てなくなり、最後は肩を壊して選手生命が終わりました。
サボったわけではありません。言われた通りに、真面目にやった結果です。
失敗の本質は「練習」ではなかった
あとから振り返って分かったのは、問題は練習の中身ではなく、その手前にあったということでした。
「強くなりたい」
目的がこれだけだったんです。解像度が低すぎました。
曖昧な目的は、曖昧な戦略しか生みません。「強くなりたい」からは「相手と同じ土俵で戦えるようにしよう」という戦略が出てきます。つまり、弱点を潰して平均点を上げる方向。
武器を磨く時間は、その分だけ消えました。
五十嵐(編集)
小畠さんに「で、なんで上手くなりたいの?」って聞かれて固まりました
ここから生まれたのが、テニスポットのレッスンの土台になっている 成功への3ステップ です。
成功への3ステップ
考える順番を、この3つに固定します。
① 目的の解像度を高める ② 戦略を取捨選択する ③ 実行手段を具体化する
上から順に。逆から入らないこと。 これだけです。
① 目的の解像度を高める
いつ、どこで、何を、なぜ達成したいのか。ここを言葉にします。
「強くなりたい」では、まだ足りません。
- 「半年後の市民大会で、1回戦を突破したい」
- 「スクールの同じクラスの人と、ラリーを10往復続けたい」
- 「週末に夫婦でダブルスをやるので、サーブで相手に迷惑をかけない程度にしたい」
ここまで下ろすと、何を練習すべきかが勝手に決まります。
3つ目の例の方に、バックハンドのトップスピンは要りません。必要なのは、入るサーブです。
② 戦略を取捨選択する
ここがいちばんつらいところです。
目的に必要な要素を強化して、不要なものは捨てる。
捨てる、というのが本当に難しい。苦手なショットがあると、人はそこを直したくなります。私もそうです。でも、限られた時間で全部をやろうとすると、全部が中途半端になってしまいます。
代表が失ったのは、まさにこの「捨てる判断」でした。
弊社のレッスンで、コーチが「今日はバックハンドは見ません」と言うことがあります。乱暴に聞こえますが、目的から逆算した結果そうなっているだけです。この「捨てる」の実例はテニスで初中級から中級に上がれない本当の理由にも出てきます。
五十嵐(編集)
捨てるのがいちばん怖いんですよね。。
③ 実行手段を具体化する
選んだ戦略を、練習に落とし込みます。
ここで大事なのが、測れる形にすること。
「サーブの確率を上げる」ではなく「10球中7球をサービスボックスに入れる」。やったかどうかが自分で判定できるところまで下ろします。
この③の中身を手順にしたものが、テニスポットの FACTメソッド です。Focus(絞る)、Analysis(事実と数値)、Commitment(10球中◯球)、Tactics(具体策)の4つ。標語は「感覚に頼るな。事実を持ってこい。」です。
多くの方は、③から入っています
ここまで読んで、お気づきかもしれません。
ネットにも動画にも、③の情報だけが大量にあります。「バックハンドの打ち方」「サーブのコツ」。全部③です。
①と②を飛ばして③から入ると、こうなります。
練習はしているのに、それが自分の目的に効いているのか分からない。 そういう状態になります。
これが、テニスポットが「負のスパイラル」と呼んでいる状態の入口です。言われるがままやる(受動)→ 教わっても分からない(混乱)→ 自分は下手なんだと思う(自己否定)→ テニスが楽しくない(断絶)。
この流れの詳しい話はテニススクールを辞めたいと思ったら、先に試すことにまとめています。
実際のレッスンで起きていること
テニスポット調べ(2026年10月)の数字を出します。
継続して通われている3名・56レッスン分の記録のうち、24回でバックハンドが課題に挙がっていました。
また、レッスンカルテ約80回分を見ると、課題として出てくる順番はこうなっています。
1 バックハンド 2 ストロークの安定・ラリーが続かない 3 サーブ 4 動かされたとき・球際 5 高い打点
バックハンドが堂々の1位。
ここで考えてほしいのですが、これは全員にとって本当に1位でしょうか。
バックハンドは「苦手だと自覚しやすい」ショットです。当たらないのがはっきり分かるので。だから真っ先に挙がる。
でも、週末にダブルスをやりたい方にとって、優先順位の1位はおそらくポジショニングとサーブです。バックハンドは3番目かもしれません。
①を飛ばすと、課題は「効く順」ではなく「目立つ順」に並んでしまいます。
ちなみに、いま自分が打っているボールがどういう種類のものかを切り分ける考え方として、テニスポットには DNO戦略 というものもあります。守る・つなぐ・攻める。こちらは②の解像度を上げるときに使います。
うまくいかないこともあります
正直に書いておきます。
①で目的を決めても、やっているうちに変わる方がかなりいます。 「試合で勝ちたい」で始めて、3か月後に「やっぱり楽しくラリーしたいだけでした」に変わる方です。
これは失敗ではないと思っています。ただ、決めた目的を一度も見直さないと、気づかないうちに「もう興味のない目的」のために練習を続けることになります。
弊社では3か月に一度くらいのペースで目的を確認し直していますが、この頻度が適切かどうかは分かっていません。 比較した記録がないので。
あと、分かっていないことをもう1つ書いておきますね。体験レッスンから継続につながる割合を、弊社はまだ計測していません。 なので「3ステップを使うと続く」とは言えない状態です。言えるのは、レッスンの進め方がこの順番になっている、というところまでです。
よくある質問
Q. 目的がまだ決まっていないのですが、それでもレッスンは受けられますか
受けられます。というより、①の目的を一緒に言葉にするところがレッスンの最初の時間です。決まっている方のほうが少ないです。
Q. 弱点を直すこと自体が悪いのですか
悪くありません。目的から逆算した結果、弱点の強化が必要なら当然やります。問題なのは「苦手だから直す」という順番のほうです。目的を飛ばして弱点から入ると、代表と同じ道になります。
Q. 独学でも3ステップはできますか
①と②は紙に書けばできます。ただ②の「捨てる」判断は、1人だと腰が引けることが多いです。捨てた結果どうなるかが見えないので。ここは誰かと話しながらのほうが早いと思います。
Q. スクールに通いながらでも使えますか
使えます。むしろ、スクールのメニューを自分の目的に翻訳し直すのに向いています。「今日のメニューは、自分の①のどれに効くか」を考えるだけでも、受け身の時間が減ります。
ここまで読んでいただいてなんですが、ひとつだけ聞かせてください。
あなたがテニスを上手くなりたい理由は、何ですか。
試合で勝ちたいのか、仲間に追いつきたいのか、週末を楽しくしたいのか。
ここが言葉になると、やるべきことは驚くほど減ります。増えるのではなく、減ります。
言葉にするのが難しければ、LINEで送ってください。文章になっていなくて大丈夫です。「なんとなく上手くなりたい」からスタートして、一緒に解像度を上げていきます。
ではでは!
